人の歯は何本ある?歯の仕組みや構造を歯科医が教えます
今回は歯の構造についてお話したいと思います。
基本的なことではありますが、歯の構造や名称、本数など、あまり意識したことが無い方も多いかと思います。
歯の知識を深めることで、適切な予防を心掛けるきっかけになればと思います。
歯は何本あるか知っていますか?
はじめに歯の本数について、子供の歯は上下で20本の乳歯が生えています。
大人は親知らずを含めて上下で32本の永久歯が生えています。
ただ、親知らずが無い方、抜いた方も多いと思いますので28本の方が多いと思います。
そして、歯ぐきより上の表面に出ている部分を歯の「歯冠」と言い、歯茎に隠れている部分を歯の「歯根」と言います。
図のように歯の形や根っこの形・本数は全て異なって様々ですし、歯冠に比べて歯根は長く、思った以上に歯は長いと思われるかもしれません。
より詳しく見て行きましょう!
歯の名称
歯の呼び方や歯の番号の付け方にはいくつかありますが、
前から順に1,2,3・・・と数えていく「Zsigmondy & Palmer system」という呼び方が非常に多く使われています。
歯の構造
図のように歯は表面から、エナメル質—象牙質—歯髄(神経)という3層構造をしています。
そして歯の周囲にあるものとして、歯根の周りをセメント質という組織が覆っており、更にその周囲を歯根膜という組織が一層存在します。
更にその周りには歯槽骨という骨で支えられ、表面は歯肉で覆われた構造をしています。
一つ一つ見ていきましょう。
歯の組織の特徴
エナメル質:歯の表面には一層、エナメル質という組織が有ります。
ここはとても固く、体の中で最も硬い組織になります。
つまりここは虫歯になりにくい部位になります。
象牙質:エナメル質の内側には象牙質という組織が有ります。
エナメル質に比べて柔らかく、虫歯が広がりやすい部分になります。
また、象牙質まで虫歯が進行した場合、痛みを感じることが多くなります。
歯髄:象牙質の中には歯髄と呼ばれる神経や血管が通る部位が存在します。
セメント質:歯根の象牙質の表面を覆っている組織です。歯根膜と呼ばれる結合組織をつなぎとめる役割をしています。
歯根膜:歯槽骨と歯根の間にある薄い膜のことです。
歯と歯槽骨を繋ぐという役割に加えて「噛み応え」を感じるという役割や、歯に伝わる力を調整するという役割もあります。
噛んで痛みを感じる時には、この部分に炎症がある可能性が高いです。
歯槽骨:歯を支えている骨のことです。
通常、歯は簡単に抜けることはありませんが、歯周病が進行すると歯槽骨や歯根膜が破壊されるため歯を支えることが出来なくなり、歯が抜けてしまうことがあります。また、歯周病で一度吸収してしまった歯槽骨は、どんなに良い治療を行なったとしても回復が非常に困難です。
まずは、ご自身の歯を知り、虫歯になり易い箇所を気を配り、80歳まで20本の歯を残せるように頑張っていきましょう!