滅菌(めっきん)とは?除菌や消毒、殺菌との違いなどを歯医者が解説
新型コロナウイルス感染症の流行が始まって早3年。
感染症をきっかけに、人々の除菌や消毒などの衛生意識が大きく変化しました。
感染を気にして歯科治療を受診するのをためらったり、受診をしても「この器具はちゃんと消毒がされているのかな?」と不安に感じたり、事前にホームページなどをチェックして、感染症対策はしているのか、衛生管理が行き届いているクリニックなのか、確認をしてから受診する人もいるのではないでしょうか。
今回は今だからこそ知ってきたい、滅菌・殺菌・除菌・抗菌など、それぞれの種類と違いについて紹介いたします。
滅菌(めっきん)とは?
滅菌・除菌・消毒・殺菌など、どれも似たような菌にまつわる言葉ですが、実は少しずつ意味が違います。
この中で「滅菌」は、医療ではなじみが深い言葉であり、治療で使用する器具やガーゼなどは、必ず滅菌が施されています。
滅菌(めっきん)とは、すべての微生物を殺滅または除去し、微生物を限りなくゼロにすることです。1個の微生物が生き残る確率が100万分の1以下の状態をいいます。
菌を除去する方法の中で最もレベルが高いのが「滅菌」です。
似ている用語との違い
では「滅菌」以外の用語には、それぞれどのような意味があるのでしょう。
殺菌
殺菌とは「菌やウイルスを殺すこと」
滅菌のように数値基準はなく、すべての菌を殺さなくても、菌やウイルスの数が減れば殺菌といえます。
また、「殺菌」はその効果が認められた医薬品・医薬部外品のみでしか表示できません。
消毒
消毒とは「菌やウイルスを無毒化させること」
殺菌と同様に医薬品・医薬部外品だけに使える言葉として定められています。
除菌
除菌とは「菌やウイルスを取り除くこと」
「殺菌」することも除菌に含まれますが、薬機法に基づいて医薬品や医薬部外品以外では「殺菌」を表示できないため「除菌」という表示がよく使われます。
抗菌
抗菌とは「菌の増殖を抑制すること」
抗菌には、殺菌や除菌のように菌やウイルスを殺したり、取り除く効果はありません。
一定期間、菌やウイルスの増殖を抑える効果が期待できるものに対して使用します。
減菌ではないのでご注意を
このように、滅菌に類似・関連する概念として「殺菌」「消毒」「除菌」「抗菌」などが挙げられます。
どれも似たような用語ですが、それぞれ意味合いが異なり、適切に消毒や滅菌されたものを使う必要があります。
歯科医院における滅菌について
歯科治療は血液や唾液と接触する処置が多いことから、治療器具の消毒や滅菌が不十分だと、新型コロナウイルスのみならず、B型肝炎やC型肝炎、HIVなどの感染症に感染するリスクが高くなります。
そのため、使い終わった器具はしっかりと消毒や滅菌処理をしたり、使い捨て用品を使用する必要があります。
多くの歯科医院では、治療で使用した器具はオートクレーブと呼ばれる高圧蒸気式の減菌器で滅菌します。
高温で変形する恐れがあるプラスチックやゴム製品などは、オートクレーブは使用できないため、ガス滅菌器を使用しますが、コストが高く、導入していない医院もあるのが現状です。
当院における滅菌について
当院では、患者さんに使用した器具は、院内感染の経路を断つために、徹底した消毒・滅菌を行っています。
ディスポーザブル(使い捨て)製品を取り入れています
患者さんが使用するコップやエプロンなど、可能な限りディスポーザブル(使い捨て)製品を利用し、院内感染予防に力を入れています。
タービンや3WAYシリンジの先までも滅菌しています
多くの歯科医院が滅菌に力をいれていますが、歯を削る機械(タービンやコントラ)や歯石を取る機械(スケーラー)などは、滅菌をすると劣化がすすむため、先端のバーだけを滅菌して、機械部分はアルコール綿で消毒をすませている歯科医院もまだまだ多く見受けられます。
しかしながら、タービンやコントラ、その他、歯科治療で使用する各種の器具を滅菌せずに使い回す事によって引き起こされる感染症が問題となっています。
当院では何十年も前から、歯を削る機械や歯石を取る機械は、治療毎に全て取り外ししっかりと滅菌をし、感染症対策に取り組んでいます。
その他にも、水や風を出す器具(3WAYシリンジの先)も同様に滅菌を行っています。
まとめ
「滅菌」「殺菌」「消毒」「除菌」「抗菌」などの用語には、それぞれ決められた意味があり、使い分けられています。
歯科治療においても、それらを適切に使い分ける必要があり、また、治療を受ける患者さん側も知っておくことで、歯科医院を受診するポイントを知ることができるのではないでしょうか。
コロナ禍においても、これまで以上に十分な対策を実施し、皆さまへ「安心」「安全」をお届けできるよう、りょうき歯科クリニックはできる限りの対策を講じていきたいと思っています。