【歯科衛生士監修】虫歯を放置したらどうなる?治ることはあるのか
「歯医者に行くのは面倒!痛くもないし、放っておいても問題ないでしょ」
なんて、考えている方はいませんか?
虫歯があっても、いろんな理由から歯科医院を受診されない方は案外多いのではないでしょうか。
今回は虫歯を放置したらどうなってしまうのか、ご紹介させていただきます。
初期段階であれば虫歯が治ることも
基本的に「痛みが出ている」「歯に穴があいている」といったような、進行している虫歯は自然に治ることはありません。
虫歯の原因については『【歯医者が解説】虫歯の原因となる5つの要素を理解して予防しよう』にて。
しかし、初期段階の虫歯であれば、歯を削らなくとも再石灰化によって修復できる場合があります。
初期虫歯は歯に穴があく一歩手前の状態で、歯科健診では「要観察歯(CO)」と指摘されるものです。
歯の表面は「エナメル質」という、体の中で最もかたい組織で覆われており、要観察歯は、このエナメル質の成分であるカルシウムとリンが溶け出した状態(※脱灰)のことをいいます。
見た目に歯の表面は白く濁ったような状態で穴もあいておらず、痛みもないため、初期虫歯だと自分で気がつくことは難しいでしょう。
脱灰が進行しても、お口の中の唾液が、虫歯が好む酸を中和して洗い流したり、溶け出したカルシウムやリンを歯の表面に戻す働きをします。これを「再石灰化」といい、初期虫歯はこの再石灰化によって治ることがあるのです。
虫歯の進行については『虫歯の進行具合について各段階ごとに詳しく解説します』をご確認ください。
フッ素配合の歯磨き粉を併用して、正しいケアをする
初期虫歯を自然治癒、進行停止するには、1日2~3回は歯を磨き、お口の中を清潔に保ちましょう。
特に奥歯は虫歯になりやすく、上下の歯が咬み合う面や歯と歯の間、歯と歯茎の境目などに付いた汚れをていねいに磨きます。
意識的に歯を磨いていても、ハブラシだけでは汚れを取り除くのは難しいため、デンタルフロスや歯間ブラシも使いながら、歯と歯の間のプラークや細かい汚れも落としましょう。
また、フッ素には歯の「再石灰化」を促す作用があります。毎日の歯磨きにはフッ素が配合されている歯磨き粉を使うとより効果的です。
歯科医院でフッ素塗布をする
毎日のケアにプラスして、歯科医院で3~4か月に1回程度、歯の表面に高濃度のフッ素塗布をすることで効果をさらに高めることができます。
より詳しく知りたい方は『【30秒で読める】フッ素とは?塗る目的や効果について』もチェックしてみてくださいね。
キシリトールガムを噛む
キシリトールには「虫歯の原因となる酸をつくらない」「歯の再石灰化を促す」といった特徴があり、口の中が虫歯になりにくい環境に整える働きがあります。
キシリトールを摂取することでカルシウムと結合し、歯の表面が溶け出したところを再石灰化して修復を促します。
キシリトールを摂取するときはガムで摂るのが望ましいでしょう。
キシリトールガムは含有割合が90%以上のものを選ぶとよいです。効果的な分量の目安はキシリトール100%入りのガムだと、1日5〜10g。6粒程度(1回2粒)です。
15~20分ガムを噛み続けることで、だ液がたくさん出てきて口の中の細菌を押し流すことで虫歯予防の効果も高まります。習慣的に摂ることが重要で、2~3ヵ月持続することで効果が現れます。
虫歯の放置から起こるトラブル
初期虫歯だからといって放置しておくと、虫歯が進行してさまざまなトラブルが引き起こります。
口臭がきつくなる
虫歯によって歯に穴があくと、そこに食べかすなどに詰まり口臭が発生します。
歯が痛む
虫歯が象牙質まで進行すること痛みを感じるようになります。さらに虫歯が進み神経にまで到達すると炎症を引き起こし、ひどく歯が痛み出します。
出血する
虫歯菌が歯だけでなく、歯ぐきの周辺まで及んでくると歯肉から出血する可能性もあります。
さらに進めば体にも影響を及ぼす
歯がボロボロになっても、虫歯を放置していると、細菌が全身にまわり体に影響を及ぼすことがあります。
虫歯はお口だけの疾患ではなく、虫歯が原因で命にかかわることもあるのです。
虫歯になったら歯医者に行くでは遅い
虫歯は初期の段階で受診すると、痛みが少ないだけでなく、治療回数も少なく治療費も安く済みますので、歯科医院に行く時間ができたら早めに受診するようにしましょう。
できれば、3ヶ月~半年に1度は定期検診を受けることをオススメします。
まとめ
このように初期段階であれば虫歯が治ることがあるといっても、日々のケアを怠っていると、虫歯はどんどんと進行していきます。
さらに虫歯が進んで歯に穴があく段階になると、自然治癒を期待することはできません。
虫歯を発見したら、放置せずに早い段階で歯科医院を受診しましょう。